◆ 計画策定の基本的な考え方
当社は、「福島県再生可能エネルギー推進ビジョン」が掲げる目標への取組みを地域主導により進めるため、平成25年5月に設立されました。
以来6年、太陽光発電事業を中心に、風力発電事業への参画、福島送電合同会社や一般社団法人福島県再生可能エネルギー推進センターの設立、さらには葛尾創生電力株式会社の設立など着実に成長しており、電力自由化や固定価格買取制度等の環境変化を踏まえつつ、新たな再生可能エネルギー分野を含めた発展を目指していく段階を迎えています。
このため、平成28年に策定した今後5年間の中期経営計画「福発チャレンジプラン」を改定し、福島県や自治体、企業・団体、県民と連携して目標達成に更に邁進するものです。
「先導的な再生可能エネルギー事業による地域経済社会への貢献」
計画期間は、福島県や自治体の計画・施策との整合性を踏まえ、当社の会計年度(9月末)とは異なる年度による計画期間とします。
平成28(2016)年4月1日~平成33(2021)年3月31日(5年間)
「未来を拓く自然と人のエネルギー」
福島の“自然と人”がそのエネルギーを発し、再生可能エネルギーによる未来のエネルギー社会を提案していくことを基本コンセプトとします。
また、会社のシンボル的なマークとして、会社の英文表記の頭文字(Fukushima・Electric・Power)に福島の森と水・風と太陽をイメージした次のロゴマークを定めます。
(読み:「エフ・イー・ピー」又は「フェップ」)
福島県が再生可能エネルギー「先駆けの地」を目指し、2040年頃に県内エネルギー需要の100%相当以上の再生可能エネルギーを生み出すという目標への歩みを着実に進めるため、当社は、次の三つの基本方針のもとに、関係者と連携しつつ様々な事業を企画・展開します。
ア 年間発電総電力量
平成27(2015)年9月決算時の総発電量 約150万kWh
平成32(2020)年9月決算時の目標 約1,000万kWh
平成32(2020)年9月決算時の目標 約200,000千円
ア 地域主導による再生可能エネルギーの推進
① 福島空港メガソーラー事業
〇世界10の国と地域の太陽光パネルを設置しているソーラーパークの太陽光発電設備等について、長期的な運用評価を進め、その成果をセミナーや視察会等を通じて発信し関連産業の振興に役立てます。
〇太陽光発電設備の保守管理を適切に行うとともに、新たな点検手法の実証フィールドとして活用します。
② 県北メガソーラー事業
〇立地する県北浄化センターと連携し、子供達の環境・エネルギー学習の拠点として活用するとともに、下水道祭り等のイベントに参画し、再生可能エネルギー事業の普及啓発に取り組みます。
③ 再生可能エネルギーに係る普及啓発事業の一層の推進
〇当社が運営する発電施設を活用して、企業・団体・メディア等の視察会や見学会を受け入れるとともに、学校の課外授業の受け入れなどを進めます。
〇ホームページやパンフレットなどにより、当社の再生可能エネルギー事業の取組みについて、様々な機会をとらえて情報発信します。
〇福島空港体験コーナー等を活用し、子供から高齢者まで様々な世代に再生可能エネルギーを体感してもらえる取組みを進めます。
④ 風力発電事業への参画
〇阿武隈風力発電事業について、福島復興風力合同会社に参画し、事業化に取り組むとともに、県内企業・団体の出資や県民ファンドの組成に取り組みます。
〇川内村において風力発電事業を計画する川内復興エナジー合同会社に参画するとともに、新たな風力発電事業への参画を検討します。
⑤ バイオマスエネルギー活用事業の推進
〇バイオマス資源の動向を見据えつつ、バイオマス資源による熱電供給事業の研究を進め、事業化を目指します。
イ 変化に対応した多様な再生可能エネルギー関連事業の推進
① エネルギーの地産地消、新電力事業への取組み
〇エネルギー地産地消への関心の高まりや電力自由化の動向を踏まえ、先行する企業等との連携を強化し、シンポジウム等を開催するなどして、事業を推進するための課題と対策を研究します。
〇葛尾村とともに出資・設立した葛尾創生電力株式会社が、「スマートコミュニティによる葛尾村の復興モデル事業」を構築し、葛尾村中心部の落合地区において特定送配電事業を実施するとともに、村内外に居住する村民や、村を応援する事業者等を対象とする小売電気事業に取り組みます。
② 新たな再生可能エネルギー事業における経済性・事業性の実証
〇FIT価格が低減する場合にあっても、事業性を確保できるような新たな再生可能エネルギー事業を研究するため、内外の企業・研究機関等と連携してモデル的・実証的な事業に取り組みます。
〇太陽光発電事業については、安全性を確保しつつ、よりコストを下げられるよう、先駆的な事業に取り組みます。
③ 変化に対応する再生可能エネルギー関連人材の育成強化
〇産業技術総合研究所福島再生可能エネルギー研究所等の研究機関や企業等と連携して、発電設備の運用評価や風況観測技術の開発、保守管理手法の研究を進め、各種研修会等において研究成果の発表を行います。
〇人材育成に関わる大学や専修学校、団体等と連携し、発電設備のプランニングから保守点検、エネルギーの地産地消など、再生可能エネルギー事業を取り巻く環境の変化に対応する人材育成事業に取り組みます。
④ 関係団体・企業等との連携強化
〇福島県再生可能エネルギー推進センター等と連携して、県内企業・団体等に対する事業化支援に取り組みます。
〇エネルギーエージェンシーふくしま、福島県再生可能エネルギー関連産業研究会や各分科会と連携し、県内企業や連携する海外企業が開発・生産する製品・部品の利活用を支援します。
〇県や自治体、多様な団体等との連携を強めつつ、再生可能エネルギー事業が地域経済社会により貢献できるものとなるよう図ります。
ウ 復興を牽引する再生可能エネルギー関連事業の推進
① 大熊町ふるさと再興メガソーラー事業
〇発電設備の保守管理に適時適切に取り組み、発電量の安定的な確保を図るとともに、敷地の除草や景観に配慮した環境整備を進めるため、まちづくり会社等と連携して取り組みます。
〇発電所を活用して、視察・見学者の受け入れを行うとともに、防草シート実証事業の結果については様々な機会を活用して発信します。
〇大熊町が設置する植物工場の運営に寄与するため、売電収益の一部を大熊町へ寄付します。
② 富岡町復興メガソーラー事業等への参画・現地でのO&M事業の取組み
〇発電所経営法人に参画するとともに、除草等の環境整備を受託し、地域に帰還する高齢者の協力を得ながら環境整備等に取り組みます。
〇当社浜通り事務所は、町づくり会社等と連携して、地権者や周辺住民の窓口機能を果たすとともに、再生可能エネルギーの普及啓発を担います。
〇発電所敷地を活用して景観や農業再生に向けた取組みを行うとともに、浜通り事務所の施設を活用して、地域コミュニティ再生に向けた取組みを行います。
③ 楢葉町斜面ソーラー・フロート型ソーラー等の新たな事業の検討・実施
〇避難解除等区域や帰還困難区域において、共同利用が可能となる共用送電網整備の動向を見据えながら、地域貢献効果が大きく、事業化可能な再生可能エネルギー事業の検討を進め、企業や自治体等と連携して事業化に取り組みます。
〇建設費用が安価で事業性が見込める再生可能エネルギー事業について検討を進めるとともに、先進的な再生可能エネルギー事業についても事業性を実証する取組みを行います。
④ スマートコミュニティ事業の推進
〇葛尾村と共同で出資し平成30年10月に設立した葛尾創生電力株式会社が、「スマートコミュニティによる葛尾村の復興モデル事業」の構築に取り組みます。同社は、本事業による葛尾村中心部落合地区における特定送配電事業に加え、村内外の村民や、村を応援する事業者等を対象とする小売電気事業についても取り組みます。
⑤ 共用送電網整備・運営事業の推進
〇東京電力ホールディングス株式会社と株式会社東邦銀行と共同で平成29年3月に設立した福島送電合同会社に参画し、福島県沿岸部及び阿武隈山地における再生可能エネルギーの導入拡大に向け、送電線・変電所等の建設並びに運営を行います。